『スノー・ロワイヤル』ブラックユーモアあふれる真面目な親父の復讐劇!!! 感想 ネタバレ若干あり
普通のオヤジがキレると意外に強かった!!!
『スノー・ロワイヤル』
原題/Cold Pursuit
監督/ハンス・ペテル・モランド
出演/リーアム・ニーソン
トム・ベイトマン
上映時間/119分
観賞方法/映画館(字幕)
あらすじ
雪深い静かな田舎町キーホー。この町で除雪作業員をしているネルズ・コックスマンは模範市民賞を受賞するほど真面目に穏やかな日々を送っていた。しかし、ネルズの1人息子が麻薬の過剰摂取に偽装され、殺されてしまったことから事態は一変する。地元の麻薬王バイキングの組織に息子が殺されたことに気づいたネルズは、素手や銃、さらには除雪車で、組織の人間を1人また1人と殺していく。しかし、ネルズの復讐劇を敵対する麻薬組織によるものと勘違いしたバイキングは敵対組織を襲撃。相手もその報復に乗り出し、ネルズの復讐劇は2つのマフィア、さらに警察をも巻き込んだ戦いへと突入する。
(映画.comより)
真面目親父の復讐劇が開幕!!!
田舎町の除雪作業員として、
真面目に働くネルズ・コックスマン。
息子を殺されたことで、
地元の麻薬密売組織に復讐していく話なのですが、
ただのシリアスな復讐劇に収まらない!!
随所にブラックなユーモアが盛り込まれ、
シニカルな笑いが満載!!!
笑っていいんですか? いいんです!!!!!
ブラックユーモアはバランスを間違えると
まったく笑えませんが、
この映画はそのバランスが絶妙!!!
監督インタビューには、
序盤の死体安置所のシーンで観客の多くが「これはどことなく毛色の違う映画だ」と気づく瞬間があるけど、観た人はそこから笑いが許されると感じるようだ。
(パンフレット 監督インタビューより)
とあります。
このシーンは、
最愛の息子と死体安置所で再開する、
とても痛ましいシーンです。
本来なら笑いなど許されない状況なのに、
死体の乗った担架をジャッキアップして持ち上げる、
キコキコといった音が静寂に響く様は、
笑いを誘います。
嫌みのある、無理のある笑いではなく、
思わず失笑してしまうシーンです。
このような暴力やその結果と直面するシーンに、
笑いを盛り込むのが上手い!!!
怒れる親父は意外に強かった!!!
ネルズは息子を殺した麻薬ディーラーを見つけ、
息子の殺害を問い詰める。
しかし、
ディーラーはズボンに隠した銃を見せ付け、
家に帰れと嘲笑う。
その言葉にキレたネルズが顔面をボコボコに殴り倒す!!!
そして、
ディーラーに指示を出した男の名前を聞き出し始末すると、
小説で得た知識を利用して、
死体を金網でくるんで川にポイッ!!!
こうすると死体も浮かばずに、
死体は魚が食べるので証拠隠滅になるらしい…
次の相手は、
狩猟用のライフルをノコギリで切り、
ジャケットの裏に隠して、
ターゲットに近づき、至近距離でズドン!!
ここまで行くと馴れてきたのか、
お次は雪原を除雪車でターゲットを追いかけ回す!!!
普通の親父が倫理観を殴り捨て復讐に乗り出す。
シリアスな展開なんですが、
先ほども説明したシニカルな笑いがあるので、
緊張と緩和が絶妙なんですよね。
ネルズが普通のおじさんなので暴力が得意ではなく、
相手をボコボコに殴った後に、
息が切れているところを、
殴った相手にバカにされたり…
勘違いが抗争に!!?
部下を次々にネルズに殺された
麻薬組織のボス、通称バイキングは、
同盟関係にあるネイティブ・アメリカンの組織の仕業と考え、
報復としてボスであるホワイトブルの息子を殺害。
ホワイトブルは息子の復讐に乗り出し、
麻薬組織同士の抗争に発展していく…
スレ違いがストーリーを進めていく、
アンジャッシュのコント的展開。
我ながらチープな例えですが…
ネイティブ・アメリカンの組織が、
復讐に乗り出すのですが、
組織の構成員がイマイチ緊張感にかけていて、
笑ってしまうシーンもチラホラ。
拠点を離れてリゾートホテルに宿泊するシーンで、
受付係との掛け合いも面白い。
「リザベーション(予約)がいっぱいです」
「俺たちにリザベーション(居留地)に帰れってか!!!」
SNSなどで人種差別により一層厳しくなったことを、
逆手にとってますね。
ブラックユーモアあふれる復讐劇!!!
ただの復讐劇と思わせて、
シニカルさと登場人物のスレ違いに笑っちゃいました。
アクションの派手さは欠けるところもあるが、
それ以上に独特の面白さがある作品でした。