『移動都市 モータル・エンジン』ピーター・ジャクソン制作の新たな冒険!! 感想
都市が喰われる!!
『移動都市 モータル・エンジン』
制作/ピーター・ジャクソン
監督/クリスチャン・リバース
出演/ヘラ・ヒルマー
ロバート・シーハン
上映時間/129分
観賞方法/映画館(吹替え)
あらすじ
「60分戦争」と呼ばれる最終戦争から数百年の時が過ぎ、わずかに残された人類は地を這う移動型の都市で生活することを余儀なくされた。巨大移動都市ロンドンは、都市同士が捕食しあう弱肉強食の荒れ果てた地でその支配を拡大させ、小さな都市を捕食することで成長を続けている。そんなロンドンの指導者的立場にあるヴァレンタインに対し、過去のある出来事から復讐心をたぎらせる少女ヘスターは、ある小都市がロンドンに捕食される騒ぎに乗じてロンドンに潜入。ヴァレンタインに刃を向けるが……。
(映画.comより)
都市が都市を喰らう、圧巻の捕食シーン!!
「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソンが制作に関わる本作品は、
荒廃した地球を車輪を履いた都市が捕食し合う、
荒唐無稽な世界観を見事に再現することに成功しています!!
特にオープニングの、
大都市ロンドンが弱小都市を捕食するシーンは圧巻!!
唸りをあげて駆動するエンジン!!
大地を踏み砕くキャタピラ!!
そして、
ロンドンに文字通り喰われてしまう移動都市!!
荒廃した世界に生まれた新たな世界の創造は、
細かいディテールまで作り込まれていました!!
再構成による改悪? チグハグになった人物たち…
世界観の再現は良かったのですが、
ストーリーや登場人物には不満点も多かったですね。
原作小説を読んでから映画を観たのですが、
ストーリーを分かりやすくするためか、
人物像に変更がみられて、残念な点がいくつもありました…
世界を滅ぼした古代兵器の復活により、
大都市ロンドンの覇道を目論む考古学者のヴァレンタイン。
原作では市長の犬として、
良心の呵責に苦しむ一面もありました。
しかし、
ストーリーを分かりやすくするため、
映画ではただの悪役へと改変してしまったため、
チグハグな人物となってしまいました…
ヴァレンタインは、
移動都市がお互いを喰い合う、
都市淘汰主義を否定します。
その一方で、新たな狩り場を求めて、
反移動都市同盟の街を攻撃するなど、
何を目的とするのか?が判別できずに、
非常にチグハグな人物像に見えました…
ロンドンの秘密を探る、
ヴァレンタインの娘キャサリンと、
見習い工学師のベヴィス・ポッド。
こいつら必要か?ってくらいストーリーに絡んできません…
ヴァレンタインの娘キャサリンは、
原作ではヴァレンタインに残された良心といえる存在で、
ロンドンの内部事情を分かりやすく伝える役割も持っていたのですが、
映画では上手く機能していなくて残念でした…
荒廃した世界観は素晴らしいが…
荒廃した世界の創造は良かったのだが、
登場人物の描き方がイマイチでしたね…
映画に収まるサイズにするためなのは理解できますが、
期待が大きかっただけに残念でした。
原作は4部作なので、
映画のヒット次第では続編もあり得たでしょうが、
このままでは望み薄ですね…
原作はとても面白かったので、
未読の方はこの機会に是非!!