『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』あのラストをどう受けとるか? 感想 若干ネタバレあり
少女のカラフルな真夏の真実とは?
原題/The Florida Project
監督/ショーン・ベイカー
出演/ウィレム・デフォー
ブリア・ヴィネイト
ブルックリン・キンバリー・プリンス
上映時間/112分
あらすじ
定住する家を失った6歳の少女ムーニーと母親ヘイリーは、フロリダ・ディズニーワールドのすぐ側にあるモーテル「マジック・キャッスル」でその日暮らしの生活を送っている。周囲の大人たちは厳しい現実に苦しんでいたが、ムーニーは同じくモーテルで暮らす子どもたちとともに冒険に満ちた日々を過ごし、管理人ボビーはそんな子どもたちを厳しくも温かく見守っていた。そんなムーニーの日常が、ある出来事をきっかけに大きく変わりはじめる。
(映画.comより)
こどもの目線からみたカラフルな世界!!
定住する場所を失い、
安モーテルで暮らす親子を
娘のムーニーの視点で描いた本作。
たとえすぐ近くにある
ディズニー・ワールドに入れなくても、
宿泊客をからかったり、
モーテルの周りを探索するだけでも、
彼女の毎日はカラフルで
とても楽しそうに描かれている。
そんな日常がある出来事をきっかけに、
少しずつ崩れていくのが、
観ていて切なくなってきますね…
ムーニーは、
なにか良くないことが起きているのを、
感じることは出来ますが、
幼すぎて理解することが出来ない…
母親が生活のために何をしているのかを
知らずにお風呂場で遊ぶシーンの意味に
気づかされたときは、
思わずハッとさせられました。
メインキャストが演技未経験という驚き!!
映画を見終わってから、
パンフレットを読んで驚いたのが、
メインキャストが演技未経験だということ!!
特に驚いたのが、
母親のへイリー役のブリア・ヴィネイトさんが、
ショーン・ベイカー監督が
インスタグラムで見つけ出したという事実!!
その後、
オーディションは受けて決定したようですが、
インスタグラムで彼女を見つけたのはスゴイですね!!
映画後半、
ムーニーの食事を見つめる
へイリーの顔が目に焼き付いているので、
とても演技未経験とは思えなかったです。
ちなみに、
演技未経験者のことをショーン・ベイカー監督は、
「ファーストタイマー(初めてのひと)」
と呼んでいたそうです。
まぁ、誰にでも初めてはありますしね…
相変わらずの存在感を見せつけるウィレム・デフォー
この画像では、
どうみても幼児誘拐犯にしか見えないが、
生真面目だが根はやさしい管理人ボビー役の
いつもは顔面のインパクトばかりに気を取られるが、
その強面が気にならなくなるくらい
モーテルの住人に振り回される
管理人役がハマっていました。
あくまで雇われ管理人なので、
モーテルのオーナーに頭が上がらない姿に
哀愁を感じさせ、
ルールを守らない住人たちに苛立ちも覚えるボビー。
だが、
口やかましいがムーニーとへイリーの親子を気にかけ、
口を出すべきでないと理解しながらも、
彼女らを見守るボビーの感情の動きが感じ取れました。
顔はイカツイが、さすがのデフォーです!!
このシーンなんか、
完全に合成でデフォーをくっつけたみたいに見えるけど…
ラストの逃避行について
映画で描かれるとてもカラフルで、
貧乏ながら幸福そうな少女の現実は、
中盤のある出来事から脆くも崩れさっていく…
ラストの逃避行は、
飛び抜けてリアルで緊迫感がある。
訪れたことの無い夢の国に向かって走り出した彼女たち。
それは、
彼女たち自身が
逃れられない現実であると、
無自覚に理解しているからだと思う。
理解しているからこそ、
夢に向かって走り出すあのラストに繋がるのだと
思いますね。